傷だらけの黒猫総長
「黒羽くんが、どんな理由で“努力”をしていても……今までいっぱい頑張ってきたから、わたしもみんなも、今、黒羽くんに助けられたんだ」
「……!」
「黒羽くんの頑張りが、別のところで、別の誰かの力になる。それって凄く、素敵なことでしょう?」
またゆらゆらと神秘的な瞳を揺らしてわたしを見ている黒羽くんを、笑顔で見つめ返す。
「だから、頑張り屋さんな黒羽くんは、とっても素敵だよ。わたしはそんな黒羽くんが好き。そう思っていることは、覚えていて欲しいな」
「……」
口を閉ざして頷いた黒羽くんの目からは、つう、と流れる一筋の涙が見えたような気がした。
わたしの言葉が少しでも黒羽くんの心に届いて、手で触れないその場所を、抱き締めてあげられていたらいいな……。