傷だらけの黒猫総長




「楽羅ちゃんは偉いね。本当は行きたくないけど、お友達のお誘いを断って、ここまで来たんだ」


「……うん……ピアノは、いやだけど……習った曲をお家でひいたら、お母さんがよろこんでくれるし……でも、教室まで行けなくて……」


「そっか。それじゃあ、今日はお家に帰って、楽羅ちゃんの気持ちをお母さんに伝えてみるのはどうかな?」


「お母さんに……? でも、ピアノ教室に行かないと、おこられちゃう……」




暗い顔をして俯く楽羅ちゃんを見て、わたしは迷いなく提案する。




「それなら、お姉ちゃんが一緒に楽羅ちゃんのお家に行くっていうのは、どうかな?」


「……! うん、それなら……」


「じゃあ、決まりだね。あ……、……大丈夫。雨上がりは、いいことがあるよ」




立ち上がったわたしは、空に虹を見つけて、ニッコリと笑いながら楽羅ちゃんに手を差し伸べた。

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