傷だらけの黒猫総長
唐突に名前が上がった人に首を傾げると、若菜ちゃんはニッコリ笑って「何でもな〜い、何でもな〜い」と誤魔化した。
4階に着いてもまだ階段を上がる若菜ちゃんが鍵を差したのは、屋上に続く扉のドアノブ。
「もしかして……屋上に入るの?」
「ピンポンピンポ〜ン♪」
「……入っていいのか?」
「うーん、どうだったかな……鍵がかかってるならダメな気もするけど」
屋上に来ようとしたことがないから、立ち入り禁止かハッキリとは分からない。
一応先生に確認しに行った方が、と考えていると、若菜ちゃんは屋上の扉を開けながら、悪戯に笑った。
「へーきへーき、偉い人の許可取ってるから。じゃないと若菜がこんな鍵持ってるわけないじゃん?」
「そう……かな?」
「そうそう♪ ほら、真ん中行こ! 若菜達の貸切だよ♪」
「あ、うん……」
「……」