傷だらけの黒猫総長


若菜ちゃんに背中を押されて、結局流されるまま、わたし達は屋上でお昼ご飯を食べることに。

広々とした屋上の真ん中に輪になって座り込むと、柔らかい風が吹き抜けて、授業の疲れが取れていくようだった。




「わぁ、風が気持ちいいね」


「ね〜♪ 今日は天気もいいし、“屋上ランチ”日和って感じ♪」


「……屋上、ランチ日和」




みんなでお弁当を広げながら話すと、黒羽くんが不思議そうに若菜ちゃんの言葉を繰り返す。

この2人はお兄さん同士がお友達で、いわゆる幼馴染みの関係に当たるらしく、黒羽くんも若菜ちゃんには気持ち、口数が多いみたいだ。




「言葉通りの意味だよ~」


「……そうか」


「ふふ、2人の会話はなんだかほのぼのしてていいね。やっぱり付き合いが長いからかな、相性がいい感じがする」



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