傷だらけの黒猫総長
わたしの手を取って立ち上がった楽羅ちゃんは、虹に気づくとパッと瞳を輝かせる。
「わぁ、“にじ”だ……!」
その後、手を繋いで楽羅ちゃんのお家に行ったわたしは、驚いた後に怒り出したお母さんを宥めて、話し合いのお手伝いをした。
素直な思いを伝え合った楽羅ちゃんとお母さんは、色々と考えて、お互いが納得できる結論を出すのだと思う。
今後、楽羅ちゃんがピアノ教室に通い続けるのか、辞めることになるのかは分からないけど……。
ひとまず、今日のところは習いごとをお休みして、お友達と遊びに行く許可が降りたみたいだ。
「お姉ちゃん、ありがとう! ばいばーい!」
「どういたしまして。ばいばい、楽羅ちゃん」
楽羅ちゃんの素敵な笑顔を見ることができて、よかったな。
わたしも……楽羅ちゃんのおかげで、“雨上がりの虹”に辿り着けた気がする。