傷だらけの黒猫総長
2人きりの屋上
ざわざわとした廊下を歩いていると、階段を上がる黒羽くんの後ろ姿を見かけて、あれ、と追いかける。
1年生の教室がある4階から更に上なんて、屋上しかないけど……。
「黒羽くん?」
屋上に続く扉の前には誰もいなくて、試しにドアノブを回してみると、カチャリと扉が開く。
数日前にお昼ご飯を食べた屋上の真ん中には、学ランを着崩した黒羽くんが立っていた。
「……何か、用か?」
「あ、ううん。たまたま見かけたから」
振り返った黒羽くんは、少し驚いたようにわたしを見る。
それから、手に持った鍵を見下ろして、こちらに歩いてきた。
カチャッ
「……鍵、閉めちゃうの?」
「1人になりに来たから」
「そうなんだ……ごめんね、わたし、来ない方がよかったかな」