傷だらけの黒猫総長
あの勉強会以降、ちょっと遠巻きだったみんなも、黒羽くんによく話しかけるようになった。
他のクラスには若菜ちゃん、他学年には矢吹先輩もいるし、学校で孤立する心配はないと思う。
黒羽くんは人を寄せつけない雰囲気があるから、それがなんだか嬉しくて。
「……俺と友達になって、満足したか?」
「え?」
キョトンとして隣を見ると、黒羽くんは神秘的な瞳でじーっとわたしを見つめていた。
「友達は、“楽しむ”ものだろう。俺は、人を楽しませるのは得意じゃない。それに……」
「……うん。満足してるよ。わたしは黒羽くんとお友達になれてよかったし、黒羽くんは思った通りの人だった」
微笑んで答えると、黒羽くんの瞳は少し翳る。
優しくて素敵な人、というのはやっぱり受け入れ難いみたい。