高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした
「もう、お父さんって本当に昔の男だよね~。お姉ちゃんも私も、年頃なんだし良いじゃんね!」
「加子ちゃん。お父さんだって、娘たちに恋をしてほしくない訳じゃないのよ?」
「じゃぁ、何であんなに厳しくするの?」
「幸せな結婚をして欲しいからかな。少し不器用な男なのよ」
「お母さん、私はなんとなく分かるよ」
父は誰よりも、私たち家族を大切にしてくれている。
それが分かるからこそ、一瞬の気の迷いや、自分勝手な思いで悲しませるような事をしたくないのだ。
「そっか。莉子ちゃん、ありがとうね」
「お姉ちゃんは物分かりが良すぎるよ~! 私は自由で生きるからね」
妹は、良くも悪くも筋が通っている性格だ。
本人は気付いていないけれど、父によく似ている。
「ごちそうさまでした! 私テスト勉強するから、お皿お願いしまーす!」
妹は空になった皿を重ねて、流し場に出していった。