高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

 不思議だ。

 誰かに応援されると、やる気が出てくる。

 それが親友だなんて、尚更だ。

「ありがとう。でもさ、今日の放課後、本当に待ってた方がいいのかな」

「この期に及んでどうしたのよ」

「やっぱり、先輩は私をからかってるだけなんじゃないのかって思えてきて」

「大丈夫だよ! ちょっとパンチのある見た目だけど、話を聞く限りいい人みたいだし。それに、これを機に莉子も世界を広げるべきじゃない?」

 『世界を広げる』か。

 確かに、私のお祖父ちゃんたちじゃないけど、自分の世界はあまりにも簡潔に出来すぎているかも。

「でも、お父さんに万が一バレたら…。私どうしよう」

「その時は、私が一緒に逃げてあげるから」

「未央…」

「莉子さ、備えあれば憂いなしなのは、確かなことよ。でも、先のことを考え過ぎて、動けなくなるのは本末転倒じゃない?」

「…そうだよね。うん、私頑張ってみる」

 底抜けに明るい彼女は、いつもこうやって私の背中を押してくれる。

「頑張んなくていいんだよ。楽しむだけ!」

「うん…! 未央、また話聞いてもらってもいい?」

「当たり前でしょ! いつでも来い!」

 私は、きっとこの世界の誰よりも幸せ者だ。

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