高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした
ー 放課後 ー
オレンジの夕陽が廊下に差し込む。
気が付けば、校庭の桜も散って新緑が眩しい季節になっていた。
窓の外を見ていると、よく目立つ銀髪の頭が見えた。
「本当に待ってる…」
早足で階段を駆け、生徒玄関に向かう。
「せ、先輩っ!」
「遅ぇよ。逃げたのかと思ったわ」
そう言うと、彼は悪戯に笑った。
そんな子供みたいな表情、不意打ちはズルい。
「に、逃げたりなんかしませんよ!」
「そうだよな。秘密がかかってるもんな」
「…違います」
「は?」
「そうたけど、そうじゃないんです」
「あんた、またよく分からねぇこと言ってんな。とりあえず、時間がねぇから行くぞ」
先輩は私の手を強引に引くと、校庭を後にした。
秘密はあるけど、今自分の中で気になるのはそれじゃなかった。