高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

「何見てんだよ。早く注文決めろ」

 急に前を向いた先輩と目が合い、動揺してしまう。

「す、すいません。わ、私これがいいです! 先輩は?」

「俺いらない。頼んでいいよ」

「え?」

「…手なんだよ」

「ん?」

「だーかーら、苦手なんだよ! 甘いものが」

「えっ!? それなのに連れてきてくれたんですか? それじゃぁ、先輩楽しくないじゃないですか!」

 不測の事態に驚きを隠せない。

 じゃぁ、なぜここを選らんだのだろう。

「いいんだよ。あんたが楽しんでくれれば」

「でも、それじゃぁ…」

「男にとって、デートってそういうことなんだよ」

 つまりそれは

 女の子が楽しんでくれれば、良いということなのか?

「そ、そうなんですね…。知りませんでした。さすが先輩ですね…」

 何だろう。

 突然女の子扱いをされたからか、落ち着かない。
 
「じゃ、じゃあ、ブラックコーヒーは飲めますか?」

「まぁ、それなら」

「よ、良かった。それも頼みましょう」

 私は店員さんに、オペラとブラックコーヒーを注文した。
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