高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした
お皿に可愛らしく盛り付けられたケーキを食べながら、目の前で優雅にブラックコーヒーを味わう先輩を盗み見る。
イケメンは、綺麗なカフェによく似合うものだ。
「旨いか?」
「はい。美味しいです、凄く」
「それは何より」
緩く口角を上げる。
先輩は見た目に反して、よく笑う。
しかも、笑い方にもレパートリーが多い。
「あの、先輩」
「何」
「名前を教えてください」
「いいよ、そのまんまで」
まさかの自己紹介拒否。
これは流石に傷つく。
「そ、そんなに教えたくないですか?」
「そうじゃねぇよ。あんたのその呼び方、結構気に入ってんの」
「『先輩』ってことですか?」
「そう」
嬉しいけど、それでは今日の目的が果たされないままだ。