高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした
 
 カフェを出ると、先輩は私の手を取って歩き続ける。

「先輩、こらからどこへ?」

「まぁ、ついてきてみ」

 全然教えてくれる気配がない。

 私は頭をひねり考える。

 『チャラい』と(イケメンでも)有名な先輩が、自分の魅了を伝えられる場所…。

 そして私の脳裏に、1つの答えが現れた。

 『お城のように可愛いホテル!!』

「せ、せ、せ、先輩! いくらなんでも見境が無さすぎます! 私には無理です!」

「確かにあんたは行かなさそうだけど、絶対楽しいはずだ」

「た、楽しいのは先輩だけでしょ!? わた、私、心の準備がっ!」

「いらねぇよ、そんなもん。つべこべ言わず、一緒に来いって」

 私、16歳にして、大きな覚悟を決めました。

「着いたぞ」

 恐る恐る建物を見ると、『美容室 Fairies』と書かれた看板があった。

「ここは…?」

「俺がカットモデルしてるとこ」

「え、モデル?」

「そう。俺ここの専属」

 拍子抜けして、思考回路が停止した。

「おい、大丈夫か?」

「あ、は、はい。何とか」

 先輩は臆することなく扉を開け、中に入っていく。
 
「莉子、何やってんの? 早くおいで」
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