高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

「お疲れ様です」

「こ、こんにちは…」

「おー、夏目どうした? あれ、可愛い子連れてんじゃん。」

 話しかけてきたのは、カラーサングラスをかけた短髪の男性。

「店長、この子俺の魅力に全然気付いてないんだよ。ちょっと雑誌見せてやって」

 この人、店長さんだったのか。
 若いのにすごいな。

「なんだ、珍しくお前の片想いか。それなら協力するよ」

「はぁ? そんなんじゃねぇけど、まぁ色々あんだよ」

 会話からして、随分と仲良さげだ。
 本当に先輩は、専属モデルで間違いないらしい。

「あ、そうだ。丁度夏に向けての浴衣ヘアを撮影したいと思ってて、良かったら2人ともカップル役でやってくんないかな?」

 それって、私も写るのかしら。

 もし、それが父にバレたらまずいのでは…。

「顔はなるべく写さないようにするから、お嬢さん協力してもらってもいい?」

「ど、どうしましょ」

 困って先輩を見上げる。

「そんな顔すんな。大丈夫だって、俺に任せろ」

「…じゃぁ、お願いします」

「ありがとう! 本当に助かるよ! お礼にヘアカット3回無料券プレゼントするからね」

「あ、ありがとうございます」

 私はスタッフのお姉さんに連れられて、更衣室の方に向かった。

< 23 / 28 >

この作品をシェア

pagetop