高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした
「お疲れ様です」
「こ、こんにちは…」
「おー、夏目どうした? あれ、可愛い子連れてんじゃん。」
話しかけてきたのは、カラーサングラスをかけた短髪の男性。
「店長、この子俺の魅力に全然気付いてないんだよ。ちょっと雑誌見せてやって」
この人、店長さんだったのか。
若いのにすごいな。
「なんだ、珍しくお前の片想いか。それなら協力するよ」
「はぁ? そんなんじゃねぇけど、まぁ色々あんだよ」
会話からして、随分と仲良さげだ。
本当に先輩は、専属モデルで間違いないらしい。
「あ、そうだ。丁度夏に向けての浴衣ヘアを撮影したいと思ってて、良かったら2人ともカップル役でやってくんないかな?」
それって、私も写るのかしら。
もし、それが父にバレたらまずいのでは…。
「顔はなるべく写さないようにするから、お嬢さん協力してもらってもいい?」
「ど、どうしましょ」
困って先輩を見上げる。
「そんな顔すんな。大丈夫だって、俺に任せろ」
「…じゃぁ、お願いします」
「ありがとう! 本当に助かるよ! お礼にヘアカット3回無料券プレゼントするからね」
「あ、ありがとうございます」
私はスタッフのお姉さんに連れられて、更衣室の方に向かった。