高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

「安く上がって良かったな、店長」

「いやいや、可愛くなきゃこっちも頼まないからね。いい子を連れてきてくれてありがとう」

「んじゃ、俺にも何か頂戴」

「バイト代あげてるだろ、調子に乗るな。それよか、あの子に結構本気だね」

「別に。ちょっと面白いと思ってるだけ」

「そうかよ。いいねぇ、青春だな」

「うるさい、おっさん。早く着付け頼むわ」

「へいへい、相変わらず素直じゃねぇな」

 

ー  シャッ  ー 

「お待たせしました。店長、いかがですか?」


「いいねー! 可愛い!」

 私が着せてもらった浴衣は、赤と白のストライプ柄に、所々大きな牡丹の花が描かれていて、大正ロマンを思わせる。
 そして、髪型はギブソンタックというまとめ髪になっているのだとか。

 全身が映る鏡を見せてもらうと、本当に自分なのかと疑うほど美しかった。
 さすが、プロ。

「先輩…、どうですか?」

「お、いいんじゃない?」

 そういう先輩も、紺地に細い黒のストライプ柄が入った浴衣で、とても大人っぽい。

「か、カッコいいですね、先輩!」

「当たり前だろ? 俺なんだから」

 その発言さえなければ、完璧なモテ男なのに。

 その後、私たちはカップル役で数枚の写真を撮り終えた。
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