高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

美容室の帰り道。

「今日は、何だか濃い日でした。とても楽しかったです」

「そう? なら良かった。こっちも助かったよ、ありがとう」

 想像以上に至近距離だった撮影。
 不思議とそこまで緊張しなかった。

 先輩が笑わせてくれたり、たくさん褒めてくれたからだろうか。

 記念に頂いた写真は、見つめ合う私と先輩が写っている。

 恋人たちは、カメラの前じゃなくてもこんな風に笑い合うものなのか。

 今日の収穫は、大変大きなものだった。

「莉子」

 少し前を歩く先輩が、不意に名前を呼んで振り向いた。

「また、遊ぼうな」

 くしゃりをと目尻を下げた、心からの笑顔。
 
「はいっ!」

 つられて私も笑い返した。



 
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