高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

 先輩はこの見た目だ。

 学校中にばらまくに違いない。

 そのまま先生にも読まれて、それから父の耳にも入って…。

 私は全員から白い目で見られ、挙げ句の果てに家を追い出されるんだ。

「俺に対して先入観凄いな。別に言いふらしたりしねぇよ」

「え」

「全部口から出てる」

「あ、失礼しました。それより、言いふらさないって本当ですか?」

「俺は嘘をつくことも、つかれることも嫌いだ」

 『人を見た目で判断してはいけない』というのは、確かな事実だった。

「普通の人なら言いふらすのに、何でですか?」

「あんたの書いた小説、中々面白かったから。こんなことでさ、書くのやめてほしくないと思っただけ」

 こんな形で感想を聞くことになるとは、予定に無かったけれどこれは嬉しいサプライズだ。

 今日は厄日に見せかけて、実は吉日かも。

「ありがとうございます…」

「あんた、将来これになりたいのか」

「え、や、まぁ、そう…ですね。恋愛小説を書くのが好きで…。なれたらいいなってレベルなんですけど…」

 初めて人に言った、私の秘密。

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