高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

「ふーん、それなら無理かもな」

「えっ!? さっき『面白い』って言ったじゃないですか!」
 
「いや、面白いんだけど、リアル感ないんだよね。もしかしてだけど、あんた恋したことない?」

「…っ! それは」

 図星で何も言葉が出てこない。

 やはり、今日は過去稀にある厄日だったみたい。

「まぁ、俺は滅多に小説なんて読まないし、その世界は詳しくないんだけどね。それじゃぁ、これ返すわ。頑張ってな」

 私にノートを手渡すと、先輩は踵を返す。

 もしかしてそれを伝えるためだけに、わざわざ届けにきたのだろう。

「ちょっ! ちょっと待って!」

 咄嗟に先輩のシャツを掴む。

「うぉっ!」

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