高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

「先輩! どうか私に、『恋』と言うものを伝授してください!!」

 私は彼に、恥を承知で頭を下げた。

「…は?」

 ですよね。

 そのような態度を取られるのは、百も承知でした。

 いや…、でも意外と傷ついていない。

 むしろ、その冷たい反応に不覚にも胸の奥がキュンとする。

 よく見れば、先輩はチャラいけれど、元々のお顔が大層麗しい。

 二重の大きな目に、筋が通った高い鼻。

 形の良い唇に、見るからにキメの細かい白い肌。

 その端正な顔立ちは、私をときめかせるのに十分だった。
 
「だって先輩…、美しいんですもの」

「何、あんた俺のこと好きなの?」

「好き…? それとこれとは違いますが、色々知っていそうですので」

「は? さっきから意味わかんねぇわ。好きでもない男に、恋を教えてもらうなんてやめとけよ。あんたの青春がもったいねぇ」

 先輩は面倒くさそうに吐き捨てたけれど、その言葉にはどこか優しさがある。
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