高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした
ー ガラガラッ ー
「はぁ、はぁ! ただいま帰りましたっ」
あの後、戸惑いながらも頷いた私は、腕時計を見て顔面蒼白した。
そして彼に名前も聞かず、もうダッシュで走ってきたのだ。
「お帰りなさい、莉子ちゃん」
「お母さん、遅くなってごめんなさい」
「五分くらい遅れても大丈夫よ。お父さんに聞かれたら、私が上手に言っておくから」
無口で厳格な父とは正反対に、母は昔から優しい。
「ありがとう、お母さん」
「ほら、早く着替えておいで。ご飯を食べましょう」
自分の部屋で部屋着に着替え台所へ行くと、既に両親と妹が待っていた。
「お祖母ちゃんたちから、ハワイのフルーツが届いたのよ。後で食べましょうね」
私たちは、お寺にしては珍しい核家族だ。