高嶺の寺子さんは、銀髪の先輩に溺れることにした

 なぜかと言うと、

 3年前に祖父が突然住職をやめて、祖母と移住したからだ。

 祖父曰く、
 『世界の広さを見てみたくなった』
 とのこと。

 祖母も、
 『お寺で一生を終えるのは嫌になった』
 と言っていた。

 そんな自由な両親の背中を見て育ったせいか、父は責任感のある真面目な性格で、相手が子供であろうと忖度せずに接する。

 だからと言って、父は融通の利かない人ではない。

 頭が固いわけでもないので、話せば分かってくれる面もある。

 でもそれには、しっかりとしたプレゼンが必要なのだ。

 つまるところ、何が言いたいかと言うと。

 私の小説家志望のことなど、到底言えないということだ。

 ましてや、それが『恋愛小説』だなんて。
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