追放聖女はスパダリ執事に、とことん甘やかされてます!
神の怒りとヘレナの居場所
煌びやかな王宮を闊歩しつつ、一人の男性がため息を吐く。
(全く……酷い状況だな)
ここに来るまでの間、馬車に揺られながら見た王都は、惨憺たる有様だった。
数日前、王都を襲った巨大地震により、多くの人が怪我を負った。宮廷に雇われた医師たちが治療に当たっているものの、対応が全く追い付いていない。
それに加え、国内ではこれまでにないぐらい、病人が急増していた。元々病を抱えていた人々の症状が、何故かこのタイミングで一気に悪化したらしい。しかも、一つの病気が流行っているわけではなく、病名も症状も、居住地すらも皆バラバラで、因果関係が全く掴めないのだという。
(こういう時、ヘレナがいてくれたら――――)
考えながら、男性は唇をグッと噛む。
聖女ヘレナ――――彼の妹は数日前に、国外へ追放されてしまった。事前に何の前触れもなく、男性は別れの挨拶すらさせてもらえなかった。事実を告げに来た騎士の表情は暗く、酷く申し訳なさそうだったことを覚えている。
(全く……酷い状況だな)
ここに来るまでの間、馬車に揺られながら見た王都は、惨憺たる有様だった。
数日前、王都を襲った巨大地震により、多くの人が怪我を負った。宮廷に雇われた医師たちが治療に当たっているものの、対応が全く追い付いていない。
それに加え、国内ではこれまでにないぐらい、病人が急増していた。元々病を抱えていた人々の症状が、何故かこのタイミングで一気に悪化したらしい。しかも、一つの病気が流行っているわけではなく、病名も症状も、居住地すらも皆バラバラで、因果関係が全く掴めないのだという。
(こういう時、ヘレナがいてくれたら――――)
考えながら、男性は唇をグッと噛む。
聖女ヘレナ――――彼の妹は数日前に、国外へ追放されてしまった。事前に何の前触れもなく、男性は別れの挨拶すらさせてもらえなかった。事実を告げに来た騎士の表情は暗く、酷く申し訳なさそうだったことを覚えている。