追放聖女はスパダリ執事に、とことん甘やかされてます!
【番外編】平気なわけがありません
「レイ、ちょっと良いか?」
ある日のこと。私はヘレナ様の兄上――――マクレガー侯爵から声を掛けられた。皆が寝静まった深夜のことだ。屋敷の中はシンと静まり、小さな物音さえ聞こえない。
「ええ……丁度今、仕事が終わったところです」
書類を棚へ仕舞いつつ、そう答える。すると、侯爵はニヤリと口角を上げて、そっと私を手招きした。
「眠れないし、一杯付き合ってくれないか? 良いワインがあるんだ。
あっ……断るなよ! 俺とお前の仲だろう? そのためにわざわざこんな時間まで待ったんだ」
「――――――お嬢様のお話ならば、お付き合いいたします」
答えれば、侯爵は「ブレない奴だなぁ」と言って苦笑いを浮かべる。私は侯爵の後に続いて、ダイニングルームへと向かった。侯爵は自身の向かいの席を指し示し、私にも座る様に指示する。本来、屋敷の主人とこんな形で酒を交わすのは如何なものかと思うが、本人たっての希望だ。ワインやグラス、摘まみを用意してから、私は侯爵の示した席へと腰掛けた。
ある日のこと。私はヘレナ様の兄上――――マクレガー侯爵から声を掛けられた。皆が寝静まった深夜のことだ。屋敷の中はシンと静まり、小さな物音さえ聞こえない。
「ええ……丁度今、仕事が終わったところです」
書類を棚へ仕舞いつつ、そう答える。すると、侯爵はニヤリと口角を上げて、そっと私を手招きした。
「眠れないし、一杯付き合ってくれないか? 良いワインがあるんだ。
あっ……断るなよ! 俺とお前の仲だろう? そのためにわざわざこんな時間まで待ったんだ」
「――――――お嬢様のお話ならば、お付き合いいたします」
答えれば、侯爵は「ブレない奴だなぁ」と言って苦笑いを浮かべる。私は侯爵の後に続いて、ダイニングルームへと向かった。侯爵は自身の向かいの席を指し示し、私にも座る様に指示する。本来、屋敷の主人とこんな形で酒を交わすのは如何なものかと思うが、本人たっての希望だ。ワインやグラス、摘まみを用意してから、私は侯爵の示した席へと腰掛けた。