追放聖女はスパダリ執事に、とことん甘やかされてます!
「本当に時折で構わないのです。王都にお越しいただけませんでしょうか?
実は今回の件で王妃様――――レイモンド様ではなくイーサン様のご生母様――――がヘレナ様に大層感服し、共に祈りを捧げる機会が欲しいと申しておりまして」
「――――――つまり、ヘレナ様の力をストラスベストのためにも使って欲しいということですよね?」
そう言ってレイモンド様は不機嫌そうに眉根を寄せた。まぁ、予想通りと言えば予想通りの反応だ。王妃様はレイモンド様を追放した張本人だし、虫が良すぎると思うのは無理もない。
「いえ……実際に人々を治癒していただきたいとか、国のために結界を張っていただきたいという訳ではないのです。
けれど、王妃様は聖女様と共にありたいと……ご自身も国のために祈りたいと仰っていまして。謂わば顧問のようなものをお願いしたい、ということのようです。
もちろん報酬はしっかりとお支払いしますし、我が国でもヘレナ様を聖女として遇することになりますから、護衛や侍女など必要な人員を確保するお手伝いをさせていただきます。決して悪い話ではないと思いますが」
「良いですよ」
至極あっさりと、ヘレナ様はそうお返事をなさった。レイモンド様も彼女の返答を予想していたのだろう。ほんのりと唇を尖らせつつも異を唱えることは無い。僕はホッと胸を撫でおろした。
「――――ありがとうございます!」
勢いよく頭を下げれば、ヘレナ様は穏やかに微笑みつつ、小さく首を横に振る。
「わたし自身、ストラスベストに身を寄せるのに何もお返しできないのは心苦しいと思っていましたから、ご恩に報いる機会をいただけて嬉しいです。それに、レイの家族に堂々とお会いできる理由ができますし、報酬の件も……助かります。
実は、レイだけにお屋敷のことを任せるのは申し訳なくて、何人か使用人を雇いたいと思っていたんです。あちらでのわたしの財産も持ち出せるようになりましたし、生活に困るようなことは無いと思うんですけど」
「お嬢様がお金の心配をなさる必要はございませんよ」
レイモンド様がすかさずそんなことを口にして微笑んだ。ヘレナ様は「そう?」なんて言って笑ってる。
実は今回の件で王妃様――――レイモンド様ではなくイーサン様のご生母様――――がヘレナ様に大層感服し、共に祈りを捧げる機会が欲しいと申しておりまして」
「――――――つまり、ヘレナ様の力をストラスベストのためにも使って欲しいということですよね?」
そう言ってレイモンド様は不機嫌そうに眉根を寄せた。まぁ、予想通りと言えば予想通りの反応だ。王妃様はレイモンド様を追放した張本人だし、虫が良すぎると思うのは無理もない。
「いえ……実際に人々を治癒していただきたいとか、国のために結界を張っていただきたいという訳ではないのです。
けれど、王妃様は聖女様と共にありたいと……ご自身も国のために祈りたいと仰っていまして。謂わば顧問のようなものをお願いしたい、ということのようです。
もちろん報酬はしっかりとお支払いしますし、我が国でもヘレナ様を聖女として遇することになりますから、護衛や侍女など必要な人員を確保するお手伝いをさせていただきます。決して悪い話ではないと思いますが」
「良いですよ」
至極あっさりと、ヘレナ様はそうお返事をなさった。レイモンド様も彼女の返答を予想していたのだろう。ほんのりと唇を尖らせつつも異を唱えることは無い。僕はホッと胸を撫でおろした。
「――――ありがとうございます!」
勢いよく頭を下げれば、ヘレナ様は穏やかに微笑みつつ、小さく首を横に振る。
「わたし自身、ストラスベストに身を寄せるのに何もお返しできないのは心苦しいと思っていましたから、ご恩に報いる機会をいただけて嬉しいです。それに、レイの家族に堂々とお会いできる理由ができますし、報酬の件も……助かります。
実は、レイだけにお屋敷のことを任せるのは申し訳なくて、何人か使用人を雇いたいと思っていたんです。あちらでのわたしの財産も持ち出せるようになりましたし、生活に困るようなことは無いと思うんですけど」
「お嬢様がお金の心配をなさる必要はございませんよ」
レイモンド様がすかさずそんなことを口にして微笑んだ。ヘレナ様は「そう?」なんて言って笑ってる。