課長に恋してます!
「何でもない。ちょっと、きんぴらごぼうの味付けが辛かったの」

 間宮が笑った。

「なんだ。びっくりした。卵焼き取られるのが嫌なのかと思いましたよ」

 間宮の子供のような言葉に笑った。
 笑わせてくれる間宮がありがたい。

「もう一個、卵焼きあげる」
「いいんですか! 私、本当に先輩の卵焼き好きなんですよ。先輩に聞いた味付けで作ってみたんですけど、同じ味にならないんですよね」
「じゃあ、今度家来る? 一緒に作ればわかるようになるんじゃない」
「嬉しい! 今日行きます」
「え、今日?」
「先輩、用事あるんですか?」
「ないけど」

 悲しいぐらい何もない。
 真っすぐ家に帰って、ビール飲みながらテレビ見て、スマホ見て、寝る。
 それが最近の私の過ごし方だ。
 誰にも干渉されないから、気楽ではあるけど。

 間宮は会社が終わった後、本当に家に来た。
 二人でスーパーによって、夕食の材料を買った。

 間宮のリクエストでハンバーグを作る事になった。
 家の台所に間宮と一緒に立った。

 びっくりするぐらい、間宮は何も出来なかった。
 まずは米のとぎ方を教え、次に、タマネギのみじん切りの切り方を教えた。

 一人で料理した方が早いぐらい。
 途中からは間宮は完全な見学に回った。
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