課長に恋してます!
「先輩、上村課長の事、物凄く好きなんでしょ?」
「年上過ぎるって引く?」
「多少は。でも、好きになったら年なんて関係ないですよ」
「私もそう思う。だけど、課長は違うみたい。19も年上で相応しくないって言われた」
「あれですかね」

 間宮が考えるように腕を組む。

「何?」
「先輩が30だから、付き合うとなったら結婚しなきゃいけないって思うんじゃないんですか?」
「結婚……」

 考えた事なかった。

 課長を好きになってから、もう結婚願望はない。
 ただ一緒にいられればいい。

「やっぱり30までには結婚したいって、女性なら思うじゃないですか。子どもを産んだり、育てたりする事を考えたら。だから、そういう事を考えたら課長は相応しくないって思うんじゃないんですか」

 間宮が珍しくまともな指摘をした。
 何も考えてなさそうで、実は間宮はけっこういろいろ考えてて、私より大人なのかもしれない。

「私はただ、課長と一緒にいられればいい。結婚とか、子どもとか、そういうのは求めてないよ」
「だったらそう思ってる事を課長に伝えたらどうですか?」
「伝えるって言われても……」
「香港まで看病しに行ったくせに、変な所うじうじしてるんだから。見てて歯がゆいです。電話すればいいじゃないですか」
「だって、課長のスマホの番号とか知らないよ」

 間宮が信じられないというように、両眉を上げた。
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