課長に恋してます!

18 電話【上村】

 今日も何だかんだと忙しく、帰宅してスーツ姿のままソファにぼんやり座っていたら、テーブルの上のスマホが鳴った。
 仕事関係かと一瞬身構えるが、登録されていないアドレスからのメールだった。

 件名の『一瀬美月』の名前を見て彼女の可愛い笑顔が浮かぶ。
 リビングに置いた一瀬君が買ってくれたスチーム付きの電気ストーブを見る度に彼女の事を考えていた。
 最後に会ったのはもう四週間前になるというのに。 

“一瀬美月です。上村課長と話したいです。 連絡下さい。”

 メールを開いて、一瀬くんの切羽詰まったような気持ちが伝わって来た。
 仕事で何かあったんだろうか?
 すぐに添えられていた番号に電話した。

「もしもし、一瀬君? 何かあったの?」

 沈黙が流れた。

「一瀬君?」
「あの、課長……お久しぶりです」

 緊張したような声で一瀬君が答えた。
 四週間ぶりに聞いた高くも低くもない澄んだ声。

 声を聞いただけで会いたくなってしまう。
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