課長に恋してます!
 絶対絶命のピンチの中、何とか東京駅に到着した。
 千葉から来たので、総武快速のホームから、長いエスカレータを上って、新幹線乗り場の方に進んだ。

 土曜日の東京駅は家族連れとか、カップルとか、外国人とか、スーツ姿のビジネスマン風の人たちが行き交っていた。
 これが平日だったら、断然、スーツの方が多くなる。

 新幹線の方まで行くと、【びゅうスクエア】という案内に辿って進んだ。
 課長とはそこで待ち合わせてる。

 その場所は休憩スペースみたいになってて、椅子とテーブルが置いてある。
 大きな荷物を側に置いた人たちが、椅子に座っていた。
 近くにはコーヒースタンドもあって、コーヒーを飲んでる人もいた。

 課長はどこ?
 
 ぐるっとびゅうスクエアにいる人たちを見回す。
 課長らしき人が見当たらない。

 時計を見ると、待ち合わせ時間を10分過ぎている。
 今は12:10。

 課長は時間には厳しい人だった。
 会議や打ち合わせに遅れるとよく注意された。

 どうしよう。
 怒って、どこかに行ってしまったの?

「みづき、どうしたの?」

 左手につないだ流星がきょとんとした顔で見上げる。

 流星のあどけない顔を見たら泣きたくなった。
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