課長に恋してます!
「朝までカラオケでも行く?」

 一瀬君が笑った。

「付き合ってくれるんですか?」
「こんなおじさんで良ければ」
「冗談ですよ。課長、困ったって顔に書いてありますよ」
「確かにカラオケは困る。そんなに歌える歌がないよ」
「じゃあ、家に来ませんか?」
「今から?」
「泊まっていいですよ。何もしませんから安心して下さい」
「ダメだよ。一人暮らしの女性の部屋に泊まるなんてできない」
「どうして?」
「そういうものなの」
「それって遠まわしに帰りたいって事ですか?」

 じっと見つめられ、息が止まりそうになった。

 抱きしめたい衝動にかられる。

 これ以上は危ない。

 帰せなくなる。
 
 深く息を吐いた。

「おじさんはね、もう疲れたの。だから帰る」

 一瀬君が寂しそうに笑った。
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