課長に恋してます!
 課長と駅前の通りを歩いた。
 仕事の事を聞かれて、少し落ち込んだ。

「何かあったの?」

 課長が心配そうに聞いてくれた。

「石上に本気で叱られました。仕事中上の空だった私がいけないんですけど」
「上の空だったの?」
「すみません」
「何か心配ごとでも?」
「いえ、ただちょっと調子が悪かっただけです」
「大丈夫?」
「大丈夫です。それよりも課長こそ大丈夫ですか?」
「僕?」
「何だか、課長疲れてません?」

 こっちを見た課長が目を見開いた。

「また無理してるんじゃないんですか?」

 課長が困ったような笑みを浮かべた。

「ちょっと寝不足なだけ。飛行機でぐっすり寝るから大丈夫だよ」
「飛行機で寝れるんですか?」
「一瀬君は眠れないの?」
「周りが気になって、あまり眠れません。それに寝てる間に何かあったら怖いし。知らない内に飛行機が落ちて死んだらと思うと恐ろしくて」
「知らない内だったらいいんじゃないの? 目覚めたら天国だよ」
「地獄かもしれませんよ」
「地獄は嫌だね」

 ふふっと課長が笑った。
 
 やっぱり無理しているように見える。
 何だか、寂しそう。どうしたんだろう?
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