課長に恋してます!
 マンションに着いた。
 エレーベーターで5階まで行って、課長と並んで外廊下を歩いた。

 送別会の夜に課長が来てくれた事を思い出した。
 あれはまだ二か月前の事なのに、一年前ぐらいに思える。

 課長に告白して、フラれて、それでも諦められなくて、
 玄関先で課長に抱き着いた。そして課長は抱きしめ返してくれた。

 あの時、抱きしめてくれたのは同情だったんだろうか。
 あまりにも私が可哀そうに思えたんだろうか。

 そんな事を思いながら、課長と部屋に入った。
 リビングに課長を通して、台所に立った。

「コーヒー淹れますね」

 湯を沸かしながら言った。

「お構いなく」

 忘年会の夜も課長は同じ事を言った。

 コーヒーの入ったマグカップを持ってリビングに行った。
 課長はソファに座ってて、私はその一段低い位置に座った。

 あの夜と同じだ。

「いただきます」

 課長がコーヒーに手をつけてくれた。

「それで話と言うのは?」
 課長が言った。
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