課長に恋してます!
 一瀬君に会ってから三日後、上海にいた。

 午前中は紡績工場で打ち合わせをし、午後は石上君が連れて来た日本からのお客さんを接待した。

 上海は街の南西から北東にかけて黄浦江(コウホコウ)という長さ97kmにも渡る大きな川が流れる。
 黄浦江の西岸には歴史的建築物が並び、東岸には近代的な高層ビル群が並んでいた。

 夜には歴史的建造物と、高層ビル群が混ざる幻想的な夜景を黄浦江を走る遊覧船から楽しむ事が出来た。

 日本からのお客さん三人と、僕と石上君の五名で知り合いに用意してもらった貸し切りのクルーザーに乗り、一時間かけて黄浦江をクルージングした。

 接待は上々で、みんな夜景を楽しんでくれた。その後は高級中華料理店で、フカヒレの姿煮や、アワビのスープの広東料理のコースを楽しんでもらい、お開きとなった。

 ホテルに戻って来たのは23時を過ぎていた。

「上村課長、今日はありがとうございました」

 フロントの前で石上くんに呼び止められた。
 今回は石上君と同じホテルに滞在していた。

「課長、少し飲みませんか? 今日のお礼にご馳走させて下さい」
 少しだけ考えて、誘いを受けた。
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