課長に恋してます!
石上君とホテルの地下にあるクラシカルな雰囲気のバーに行った。
カウンターに並んで座り、石上君はバーボンを頼み、僕は日本の銘柄のウィスキーを頼んだ。
すぐにカウンターの前に頼んだ物が置かれた。
「お疲れ様です」
石上君に合わせてグラスを掲げた。
BGMには薄くジャズがかかり、それがビル・エヴァンスの曲だとすぐにわかる。
曲名を口にすると、石上君が「好きなんですか?」と聞いてきた。
「昔、よく聴いてた。ジャズは妻の影響で好きになったんだよ」
「奥さん、もう亡くなって何年になるんですか?」
「23年」
「そんなになるんですか」
石上君が少しだけ驚いたように口にした。
「そんなに年月が経ってるとは思いませんでした。課長はお酒が入ると時々奥様の事を話してましたから。その話が昨日の事のように感じてました」
「そうだったかな」
「課長、自覚なかったんですか?」
「全く。妻の事はなるべく人に話さないようにしてるつもりだったんだけどね」
石上君が笑った。
「全然そんな風には思えませんでした」
「そうか。僕は酔うと妻の事を話すのか」
「奥様の話を聞く度にいいなって思いましたよ。好きなんですね」
「まあね」
妻の事を思い出して心がくすぐられる。
でも、次の瞬間は一瀬君の顔が浮かんだ。
カウンターに並んで座り、石上君はバーボンを頼み、僕は日本の銘柄のウィスキーを頼んだ。
すぐにカウンターの前に頼んだ物が置かれた。
「お疲れ様です」
石上君に合わせてグラスを掲げた。
BGMには薄くジャズがかかり、それがビル・エヴァンスの曲だとすぐにわかる。
曲名を口にすると、石上君が「好きなんですか?」と聞いてきた。
「昔、よく聴いてた。ジャズは妻の影響で好きになったんだよ」
「奥さん、もう亡くなって何年になるんですか?」
「23年」
「そんなになるんですか」
石上君が少しだけ驚いたように口にした。
「そんなに年月が経ってるとは思いませんでした。課長はお酒が入ると時々奥様の事を話してましたから。その話が昨日の事のように感じてました」
「そうだったかな」
「課長、自覚なかったんですか?」
「全く。妻の事はなるべく人に話さないようにしてるつもりだったんだけどね」
石上君が笑った。
「全然そんな風には思えませんでした」
「そうか。僕は酔うと妻の事を話すのか」
「奥様の話を聞く度にいいなって思いましたよ。好きなんですね」
「まあね」
妻の事を思い出して心がくすぐられる。
でも、次の瞬間は一瀬君の顔が浮かんだ。