課長に恋してます!
 石上の事だから新橋の居酒屋にでも行くと思ったら、銀座の高級フレンチだった。
 地味な通勤着が気になるぐらい格調の高そうなお店で戸惑う。

「ご予約の石上様ですね」

 店に入ると、品の良さそうなウェイターが名前を確認した。
 わざわざ石上が店を予約していた事に驚く。
 
 案内されたのは窓際の、景色がよく見えそうな席。
 ビルの10階からはキラキラと輝く銀座の街並みがよく見える。
 デートでくるみたいな雰囲気のいい場所だと思った。

「白ワインと赤ワインどっちがいい?」

 向かい側に座る石上に優しく聞かれた。

 よく見ると、今日の石上は仕立ての良さそうなネイビーのスリーピーススーツを着ていた。
 普段よりもお洒落だ。今日は重要な商談でもあったんだろうか。

「どっちでも」
「じゃあ、白にしよう」

 石上はソムリエと何やら専門的な用語で話をし、ワインを決めた。
 なんか石上が王子様のよう。

 それからコース料理が始まって、前菜からして見た目の美しい物が出て来た。

 ウェイターが前菜の一つ一つを丁寧に説明をしてくれる。
 その話を品よく聞く石上がやっぱり王子だ。

 石上に一体何が起きたの?

「何だよ?」

 目が合うといつものぶっきらぼうな感じで石上が言った。
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