課長に恋してます!
4 告白の返事 【上村課長】
一週間前の朝、一瀬君に「好き」だと告白されて、どう返事をしようか、ずっと悶々と考えていた。
幸いな事に香川専務から海外事業部の案件を手伝って欲しいと頼まれ、この一週間は一瀬君と顔を合わせずに済んだが、今日、休憩室で一瀬君の顔を見て、このまましておくのは不誠実な気がした。
それで返事をしようと決めた訳だが……。
弁当を作ったのは、手ぶらで一瀬君に会う勇気がなかったからだ。
会社に残っていた一瀬君に届けると、嬉しそうな笑顔を浮かべて弁当の包みを見てくれた。その顔を見て、返事が言えなくなる。
尻尾を丸めて「帰る」とつい言ってしまった。
一瀬君も帰ると言ってくれたから、良かった。
「一緒に帰ろうか」
自然とそう言えた。
だが、肝心な事は言えず、一瀬君もあの朝の告白について何も言ってこなかった。
「好き」という言葉は、実は聞き違いだったんだろうか。
最寄り駅につき、改札の前でいつも通り別れるが、振り返って、一瀬君を引き留めようかと迷う。
しかし、今までそんな事はした事ない。
時々、帰りが一緒になる事はあったが、改札を出た後は綺麗に別れた。決して呼び止める事なんてしなかった。
「上村さん!」
しがみつくような声で呼ばれた。
振り向くと、泣きそうな顔をした一瀬君がこっちを見ていた。
どうしたんだろう。
何かあったのか?
心配になる。
慌てて、側に行った。
「あの……」
一瀬君が目尻を下げた不安気な顔で、こっちを見た。
幸いな事に香川専務から海外事業部の案件を手伝って欲しいと頼まれ、この一週間は一瀬君と顔を合わせずに済んだが、今日、休憩室で一瀬君の顔を見て、このまましておくのは不誠実な気がした。
それで返事をしようと決めた訳だが……。
弁当を作ったのは、手ぶらで一瀬君に会う勇気がなかったからだ。
会社に残っていた一瀬君に届けると、嬉しそうな笑顔を浮かべて弁当の包みを見てくれた。その顔を見て、返事が言えなくなる。
尻尾を丸めて「帰る」とつい言ってしまった。
一瀬君も帰ると言ってくれたから、良かった。
「一緒に帰ろうか」
自然とそう言えた。
だが、肝心な事は言えず、一瀬君もあの朝の告白について何も言ってこなかった。
「好き」という言葉は、実は聞き違いだったんだろうか。
最寄り駅につき、改札の前でいつも通り別れるが、振り返って、一瀬君を引き留めようかと迷う。
しかし、今までそんな事はした事ない。
時々、帰りが一緒になる事はあったが、改札を出た後は綺麗に別れた。決して呼び止める事なんてしなかった。
「上村さん!」
しがみつくような声で呼ばれた。
振り向くと、泣きそうな顔をした一瀬君がこっちを見ていた。
どうしたんだろう。
何かあったのか?
心配になる。
慌てて、側に行った。
「あの……」
一瀬君が目尻を下げた不安気な顔で、こっちを見た。