課長に恋してます!
「じゃあ、こっちだから」
一瀬君の前を歩いた。
年甲斐もなく、少し緊張している。
別に何かがある訳ではない。
一瀬君は家で、弁当を食べるだけだ。
娘が来るのと変わらない。
それに、話をするのに好都合だ。人目を気にしなくて済む。
駅前の通りを歩いた。
コンビニと本屋とドラッグストアが並ぶ、角を曲がって住宅街に出た。
オレンジ色の外灯が続く通りを歩いていると、「素敵ですね」と弾んだ声で一瀬君が言った。
「同じ市内なのに、全然違う場所に見えます」
「一瀬君が住んでる方は商業施設が多いからね。こっちは住宅街が多いから静かだよ」
「いいですね。うちの近くに消防署があるから、結構うるさいんです。それがいいと思って選んだんですけどね」
「いいと思うって?」
「防犯上の理由です。消防署が近くにあれば泥棒とかいないと思って」
「それを言うなら警察署じゃないの?」
「確かに。今頃気づいた。もう4年住んでるのに」
一瀬君がクスクスと笑った。
笑顔がキラキラ光って見える。
外灯のせいか?
「一瀬君も4年になるんだ」
「はい。多分、課長が越して来た年に私も引っ越してます」
「偶然だね」
「偶然ですね」と言ったまつ毛の長い大きな目がこちらを見上げる。
目が合った瞬間、嬉しそうに唇を上げた一瀬君につられるように、こちらも笑顔になる。何だかウキウキとしてくる。一瀬君と一緒にいるのが楽しい。どうしてだろう?
一瀬君の前を歩いた。
年甲斐もなく、少し緊張している。
別に何かがある訳ではない。
一瀬君は家で、弁当を食べるだけだ。
娘が来るのと変わらない。
それに、話をするのに好都合だ。人目を気にしなくて済む。
駅前の通りを歩いた。
コンビニと本屋とドラッグストアが並ぶ、角を曲がって住宅街に出た。
オレンジ色の外灯が続く通りを歩いていると、「素敵ですね」と弾んだ声で一瀬君が言った。
「同じ市内なのに、全然違う場所に見えます」
「一瀬君が住んでる方は商業施設が多いからね。こっちは住宅街が多いから静かだよ」
「いいですね。うちの近くに消防署があるから、結構うるさいんです。それがいいと思って選んだんですけどね」
「いいと思うって?」
「防犯上の理由です。消防署が近くにあれば泥棒とかいないと思って」
「それを言うなら警察署じゃないの?」
「確かに。今頃気づいた。もう4年住んでるのに」
一瀬君がクスクスと笑った。
笑顔がキラキラ光って見える。
外灯のせいか?
「一瀬君も4年になるんだ」
「はい。多分、課長が越して来た年に私も引っ越してます」
「偶然だね」
「偶然ですね」と言ったまつ毛の長い大きな目がこちらを見上げる。
目が合った瞬間、嬉しそうに唇を上げた一瀬君につられるように、こちらも笑顔になる。何だかウキウキとしてくる。一瀬君と一緒にいるのが楽しい。どうしてだろう?