課長に恋してます!

6 送別会 【上村課長】

 送別会はいらないと言ったが、石上君が気をきかせてくれて、課の社員10名で飲み会を開いてもらった。
 新橋にある親しみのある居酒屋だった。
 座敷を借り切って、みんなで和気あいあいと飲んだ。

 思えば、今の課に来てからみんなとよく飲んだ気がする。
 幹事はいつも石上君で、月一で飲み会があった。
 全部は出られなかったが、1/3ぐらいは出席した。
 そしていつも、一瀬君の隣で飲んでた気がする。

 その事に気づいたのは、今夜は隣に一瀬君がいなかったからだ。
 彼女は戸口の近くに、間宮くんと並んで座っていた。

 今日、会社でも一瀬君と言葉を交わしていない。
 香港に行く準備や、仕事の引き継ぎで、バタバタしていたせいだ。
 
“僕は君に相応しくない。49才でおじさんだ。19才も年上なんだ。だから、君の気持ちに応えられない。”

 あの夜の言葉を一瀬君はどう受け取っただろうか。
 僕の事なんて忘れてくれればいいが。
 香港への異動は一瀬君にとっても丁度良かったかもしれない。
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