課長に恋してます!
14 香港観光【上村課長】
渋る一瀬君を説得して、午前10時に部屋を出た。
強引だった気もするが、さんざん世話になって何もお返しが出来ないのは嫌だった。
それにこのまま一瀬君と離れてしまう事も……。
「どこに行くんですか?」
マンションを出ると一瀬君が不安そうに聞いてくる。
「フェリーに乗ろうと思ってね」
「フェリー?」
一瀬君が眉をあげた。
「そんなに遠くに行くんですか?」
「遠くはないよ。この香港島を出て、 向かい側の方に行こうと思ってね」
「向かい側って、九龍の方?」
「そう。あっちも中々面白いよ。一瀬君行った事ある?」
「いえ」
「良かった。きっと面白いよ。香港島と九龍半島の間に流れるビクトリアハーバーを渡るフェリーが中環から出てるんだよ。今日は天気もいいしきっと気持ちいいよ」
「課長、出歩いて本当に体調は大丈夫なんですか?」
「大丈夫。ちゃんとパジャマから着替えたし、コートも取って来れたし。一瀬君に心配かけないように厚着して来たよ」
「課長があんなに頑固だとは思いませんでした」
「義理堅いと言ってくれ。世話になった人間を僕はただでは帰さない性分だ」
顔を見合わせると、一瀬君がぷっと笑う。
「素直に世話になっておけばいいのに」
「借りはちゃんと返すよ」
「くれぐれも風邪をぶり返すような事はしないで下さいよ」
「わかってるよ。お昼ごはんを食べに行くだけだ」
強引だった気もするが、さんざん世話になって何もお返しが出来ないのは嫌だった。
それにこのまま一瀬君と離れてしまう事も……。
「どこに行くんですか?」
マンションを出ると一瀬君が不安そうに聞いてくる。
「フェリーに乗ろうと思ってね」
「フェリー?」
一瀬君が眉をあげた。
「そんなに遠くに行くんですか?」
「遠くはないよ。この香港島を出て、 向かい側の方に行こうと思ってね」
「向かい側って、九龍の方?」
「そう。あっちも中々面白いよ。一瀬君行った事ある?」
「いえ」
「良かった。きっと面白いよ。香港島と九龍半島の間に流れるビクトリアハーバーを渡るフェリーが中環から出てるんだよ。今日は天気もいいしきっと気持ちいいよ」
「課長、出歩いて本当に体調は大丈夫なんですか?」
「大丈夫。ちゃんとパジャマから着替えたし、コートも取って来れたし。一瀬君に心配かけないように厚着して来たよ」
「課長があんなに頑固だとは思いませんでした」
「義理堅いと言ってくれ。世話になった人間を僕はただでは帰さない性分だ」
顔を見合わせると、一瀬君がぷっと笑う。
「素直に世話になっておけばいいのに」
「借りはちゃんと返すよ」
「くれぐれも風邪をぶり返すような事はしないで下さいよ」
「わかってるよ。お昼ごはんを食べに行くだけだ」