課長に恋してます!
薬指にはプラチナの結婚指輪があった。
結婚してから今日までずっとつけている。ゆり子が亡くなって外そうと思った事は一度もない。
「ああ、これはずっと付けっぱなしだから、もう体の一部みたいになってるんだよ」
「奥様はもう亡くなっているのに?」
「え」
寂しそうな瞳と合ってドキッとする。
僕の指輪の事で一瀬君が悲しそうな顔をするとは思わなかった。
「すみません。立ち入った事を言いました。本当にすみません」
慌てた様子で翡翠の指輪を戻して、一瀬君は隣の雑貨コーナーに行く。
そして妻の話をなかった事にするように、近くに行った僕に次々と話題を振ってくる。
「このクマのぬいぐみ、課長に似ててかわいい!」
「このお菓子美味しそう! 課長、食べた事ありますか?」
「美味しそうな調味料がありますよ。課長は辛いの好きですか?」
「あー、このTシャツ、課長に似合いそう!」
などだ。
一生懸命、楽しい雰囲気を壊さないようにしてくれている気がした。
僕が妻の事を思い出して寂しがっているように見えたのかもしれない。
一瀬君の気遣いが何だか切ない。
結婚してから今日までずっとつけている。ゆり子が亡くなって外そうと思った事は一度もない。
「ああ、これはずっと付けっぱなしだから、もう体の一部みたいになってるんだよ」
「奥様はもう亡くなっているのに?」
「え」
寂しそうな瞳と合ってドキッとする。
僕の指輪の事で一瀬君が悲しそうな顔をするとは思わなかった。
「すみません。立ち入った事を言いました。本当にすみません」
慌てた様子で翡翠の指輪を戻して、一瀬君は隣の雑貨コーナーに行く。
そして妻の話をなかった事にするように、近くに行った僕に次々と話題を振ってくる。
「このクマのぬいぐみ、課長に似ててかわいい!」
「このお菓子美味しそう! 課長、食べた事ありますか?」
「美味しそうな調味料がありますよ。課長は辛いの好きですか?」
「あー、このTシャツ、課長に似合いそう!」
などだ。
一生懸命、楽しい雰囲気を壊さないようにしてくれている気がした。
僕が妻の事を思い出して寂しがっているように見えたのかもしれない。
一瀬君の気遣いが何だか切ない。