秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「直生がいなくなって、分かったことがたくさんあった・・って言ったでしょ?」

リビングからバルコニーに出て、ふたりで外の景色を見ていると、おもむろに桜が話し始めた。

「私あの時、『直生が、そばにいてくれるだけでいい』って言ったけど、本当はちょっと違うの。私が、直生のそばにいたいと思った」

「桜・・」

「直生が服部トレーディングの専務だって分かって、仕事ぶりも見せてもらって、会社は直生にお願いできないかって考えてた。
そして私が、いろんな場面で直生を支えられたら・・って」

いろんな場面で、俺を・・?

俺の勘違いかもしれないし、思い上がりもあるかもしれないけれど。
今のはもしかして、遠回しのプロポーズか?

「桜、それって・・」

「ん? 私が直生の『秘書』になってもいいわよ」

ふふっ、と笑いながらリビングに戻ろうとした桜の腕をつかんだ。
ぐいっと桜を引き戻し、少し強引にキスした。

「んっ・・・・。直生?」

俺はその時、西川の言葉を思い出していた。

『専務が一歩踏み出せば、絶対に間に合います!』

俺が踏み出せば・・。
瞳が揺れている桜に、もう一度キスを落とす。

「な・・お・・?」

そして、俺は心の中にあった想いを桜に告げた。


「桜、俺たち、結婚しようか」

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