秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「山脇物産は、次の決算から服部トレーディングのグループ会社になり、私は社長を退任する予定です」


「え・・?」


桜が・・社長を辞める?


「山脇の意向でもあったんだ。桜ちゃんが別の道を選んだ時は、そうしてやってもらえないかと。
俺も、山脇に引き受けると伝えていたんだよ」

「親父たちの約束はいいとしても、別の道って・・」


桜の選んだ、別の道って・・。


「それじゃ会長、またご連絡しますね。今日はこれで失礼いたします」

「ああ、詳しいことは今度話そう」

「あ、待て、桜」


会長室を出ていく桜を追いかけようとすると、『直生』と親父に呼び止められた。


「お前たち、どうなってるんだ?」

「どう・・って?」

「付き合ってるんだろう? 結婚の話とかしないのか?」

「えっ、何で今そんなこと・・」


親父がため息をついて俺を見る。


「その調子じゃ話は出てなさそうだな。
ということは・・もしかして、相手はお前じゃないのか・・?」


結婚の話? 相手は俺じゃない・・?


「親父、それどういうことだよ」

「桜ちゃんが選んだ別の道なんだが・・」


桜は親父に言ったのだそうだ。


『ひとりの女性として、誰かを支えて生きてみたくなって』
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