身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?

第12話 カレンと旦那様

「……カレン!」

 私とカレン様が話をしている最中、旦那様が部屋に飛び込んできた。
 一体今まで何をしていたのか、まだ春先だというのに薄手の上着一枚、しかも汗だく。顔や頭からもポタポタと汗が滴り落ちている。

 結婚してから数週間。
 これが旦那様との直接対面、三回目だ。

 厨房での遭遇が何かの間違いならね。


「お邪魔してるわ。 今、こちらの方とお話していたのよっ……(むぐっ)」

 カレン様は、椅子から立ち上がって旦那様に話かけただけなのに。旦那様はカレン様の元に走り寄って、口元を手で覆った。

 その密着度ったら。

 カレン様の腰を左腕でがっちり抱いて、右手でカレン様の口を覆う。後ろに倒れそうになったカレン様を支えて足を床に踏ん張る旦那様の足は、カレン様の両足の間にガッツリ踏み込んで。

 ……なんだか卑猥だわ。

 さすが女たらしの旦那様。
 仮初とは言え、妻の前ですらそういうことをなさるのですね。
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