身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
「――――リゼット」
「はい、旦那様」
旦那様はカレン様を抱きとめ、口を塞いだ体勢のまま、私の方を振り返って言った。
「ちょっと席を外してくれるか」
「あ……はい、申し訳ございませんでした」
私はペコリと礼をして、二人の方を見ないようにして部屋を出た。
旦那様が色んな女性と浮名を流していることは知っていた。毎日姿が見えないから浮気相手さんのところに行ってるのかなって思ったし、カレン様が来た時も、もしかしたら過去に関係のあった方かもしれないと思った。
でも、こうして自分の目の前であんなに密着した姿を見せられては流石に衝撃が大きい。
生々しいにも程がある。
数回しか顔を合わせていない旦那様だけど。
時折のぞかせる優しい笑顔が素敵だなって思っていたから。
毎朝早起きして、私のためにスミレを摘んでくれているのだと思っていたから。
もしかしたら私も旦那様と少しは家族として歩み寄れるかもしれないって、心のどこかで期待していたのかもしれない。
でも、蓋を開けてみればやはり、旦那様は女グセの悪いという噂通りの方なのかも。自分の部屋に戻ろうと廊下を歩きながら、私は旦那様とカレン様の姿が脳裏から離れなかった。
「はい、旦那様」
旦那様はカレン様を抱きとめ、口を塞いだ体勢のまま、私の方を振り返って言った。
「ちょっと席を外してくれるか」
「あ……はい、申し訳ございませんでした」
私はペコリと礼をして、二人の方を見ないようにして部屋を出た。
旦那様が色んな女性と浮名を流していることは知っていた。毎日姿が見えないから浮気相手さんのところに行ってるのかなって思ったし、カレン様が来た時も、もしかしたら過去に関係のあった方かもしれないと思った。
でも、こうして自分の目の前であんなに密着した姿を見せられては流石に衝撃が大きい。
生々しいにも程がある。
数回しか顔を合わせていない旦那様だけど。
時折のぞかせる優しい笑顔が素敵だなって思っていたから。
毎朝早起きして、私のためにスミレを摘んでくれているのだと思っていたから。
もしかしたら私も旦那様と少しは家族として歩み寄れるかもしれないって、心のどこかで期待していたのかもしれない。
でも、蓋を開けてみればやはり、旦那様は女グセの悪いという噂通りの方なのかも。自分の部屋に戻ろうと廊下を歩きながら、私は旦那様とカレン様の姿が脳裏から離れなかった。