身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
第16話 スミレには毒がある
「旦那様! あれがきっとアルヴィラです! 図鑑に載っていたものと同じですもの。素敵……花の周りの空気がキラキラ光っているように見えませんか?」
先ほどの休憩場所に馬を繋ぎ、私たち四人は徒歩で湖までやって来た。湖の周りの岸には、数えきれないほどのアルヴィラが咲き誇っている。早春に咲くというから、今まさに開花したばかりなのだろう。瑞々しいその花は、自ら光を発しているのではないかと感じる程に煌めいている。
あまりの感動に、つい旦那様の服の袖をつまんで引っ張ってしまっていた。旦那様が立ち止まり、額に手を当てて悶えている。
……ごめんなさい、嫌いな人に触られたら不快でしたよね?
私は旦那様の袖をパッと離した。
「すまない……ちょっと刺激が強くて……」
「え? 刺激? 旦那様、申し訳ございません。私少し興奮してしまって。染物に使うなんてもったいないお花ですね。摘むのが申し訳ないくらい美しいわ」
アルヴィラの花は、どうやら白一色のようだ。この白い花から金や銀の染物ができるなんて、とても不思議だ。その場にしゃがんで花を観察していると、しばらくして辺りを見回っていたカレン様とハンス様が戻ってきた。
先ほどの休憩場所に馬を繋ぎ、私たち四人は徒歩で湖までやって来た。湖の周りの岸には、数えきれないほどのアルヴィラが咲き誇っている。早春に咲くというから、今まさに開花したばかりなのだろう。瑞々しいその花は、自ら光を発しているのではないかと感じる程に煌めいている。
あまりの感動に、つい旦那様の服の袖をつまんで引っ張ってしまっていた。旦那様が立ち止まり、額に手を当てて悶えている。
……ごめんなさい、嫌いな人に触られたら不快でしたよね?
私は旦那様の袖をパッと離した。
「すまない……ちょっと刺激が強くて……」
「え? 刺激? 旦那様、申し訳ございません。私少し興奮してしまって。染物に使うなんてもったいないお花ですね。摘むのが申し訳ないくらい美しいわ」
アルヴィラの花は、どうやら白一色のようだ。この白い花から金や銀の染物ができるなんて、とても不思議だ。その場にしゃがんで花を観察していると、しばらくして辺りを見回っていたカレン様とハンス様が戻ってきた。