身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
第19話 二人で夕食を
ロンベルクの森の視察が無事に終わり、私たちは屋敷に戻ってきた。カレン様とハンス様をお見送りし、私たちも屋敷内に入る。
森の中で繋いだ旦那様の手は剣を持つからかゴツゴツしていたけどとても大きくて優しい。強く握るでもなく、でも私が躓きそうなときはしっかり支えてくれた。母が眠ってしまってからは、こうして誰かと優しく触れ合うなんてことはなかった気がする。
こうして屋敷に戻ってからも、前を歩く旦那様の手のひらを目で追ってしまう自分に気付いた。
私……ちょっとおかしいわね? 旦那様は仕方なく私の手を取ってくれたのであって、私のことを嫌っているのに。
カレン様に煽られて、おかしくなっちゃったかしら。
「旦那様、奥様。お帰りなさいませ」
執事のウォルターが出迎えてくれた。旦那様はウォルターに小さな紙の包みを手渡す。
「これを夕食のプレートに飾ってほしい」
「夕食のですか……これは、花ですか?」
「ああ、頼む」
そう言ってそのまま立ち去ろうとした旦那様の背中に、ウォルターが言った。
「それではせっかくですので、今日はお二人一緒に夕食を召し上がって頂けるようにご準備いたします」
「えっ?」
ギョッとした目をした旦那様は、少しだけ私に目線を移したあと、「勝手にしろ」と言って去っていった。
「ウォルター! ダメよ、旦那様は私と一緒に夕食なんて嫌がられるかも」
「旦那様もたまにはゆっくりお食事されたらいいんですよ。いつも急いで掻き込んで終わりですから。さあ奥様、お着替えを。ネリーを呼びます」
森の中で繋いだ旦那様の手は剣を持つからかゴツゴツしていたけどとても大きくて優しい。強く握るでもなく、でも私が躓きそうなときはしっかり支えてくれた。母が眠ってしまってからは、こうして誰かと優しく触れ合うなんてことはなかった気がする。
こうして屋敷に戻ってからも、前を歩く旦那様の手のひらを目で追ってしまう自分に気付いた。
私……ちょっとおかしいわね? 旦那様は仕方なく私の手を取ってくれたのであって、私のことを嫌っているのに。
カレン様に煽られて、おかしくなっちゃったかしら。
「旦那様、奥様。お帰りなさいませ」
執事のウォルターが出迎えてくれた。旦那様はウォルターに小さな紙の包みを手渡す。
「これを夕食のプレートに飾ってほしい」
「夕食のですか……これは、花ですか?」
「ああ、頼む」
そう言ってそのまま立ち去ろうとした旦那様の背中に、ウォルターが言った。
「それではせっかくですので、今日はお二人一緒に夕食を召し上がって頂けるようにご準備いたします」
「えっ?」
ギョッとした目をした旦那様は、少しだけ私に目線を移したあと、「勝手にしろ」と言って去っていった。
「ウォルター! ダメよ、旦那様は私と一緒に夕食なんて嫌がられるかも」
「旦那様もたまにはゆっくりお食事されたらいいんですよ。いつも急いで掻き込んで終わりですから。さあ奥様、お着替えを。ネリーを呼びます」