身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
救護所の中で寝かされたところに、俺を心配したウォルターが駆け付けた。
「ウォルター、みんな無事か?」
「無事です。街の人も含めて、誰一人ケガもありません」
「……リゼットは? リゼットはどこにいる?」
ウォルターは首を横に振る。
「ユーリぼっちゃま、今はそのケガを治すことに専念なさってください」
「そうよ、ユーリはもう休んで。ねえ、ウォルターさん。彼は私をかばってケガをしたの。お願いだから私に看病させて」
身代わりとは言え、俺は今この屋敷の主人だ。救護所で他の騎士たちと同じように治療させるわけにはいかないとウォルターは考えたんだろう。でも、俺はここでいい。
「ウォルター、リゼットを呼んでくれないのか?」
「ぼっちゃま、リゼット様は王都に戻られました」
「え……なぜ……」
背中の痛みを忘れて、つい体を起こした。リゼットが王都に戻っただって? しかもウォルターはなぜいつものように『奥様』と呼ばない? 『リゼット様』とはなんだ? 彼女はまだリカルドと離縁していないはずだ。
「なぜ王都へ戻したんだ! あそこがリゼットにとってどんな場所か伝えただろ?」
「ユーリ、傷が開くから無理しないで!」
「……うるさい!!」
魔獣の角で引っかかれてパックリと開いた背中の傷から、流血する感覚が分かった。カレンが悲鳴を上げながら俺の腕を引く。
「ユーリ、落ち着いて! 傷が開く!」
俺は、ウォルターの胸元をつかんだまま、あまりの背中の痛みに気を失った。
「ウォルター、みんな無事か?」
「無事です。街の人も含めて、誰一人ケガもありません」
「……リゼットは? リゼットはどこにいる?」
ウォルターは首を横に振る。
「ユーリぼっちゃま、今はそのケガを治すことに専念なさってください」
「そうよ、ユーリはもう休んで。ねえ、ウォルターさん。彼は私をかばってケガをしたの。お願いだから私に看病させて」
身代わりとは言え、俺は今この屋敷の主人だ。救護所で他の騎士たちと同じように治療させるわけにはいかないとウォルターは考えたんだろう。でも、俺はここでいい。
「ウォルター、リゼットを呼んでくれないのか?」
「ぼっちゃま、リゼット様は王都に戻られました」
「え……なぜ……」
背中の痛みを忘れて、つい体を起こした。リゼットが王都に戻っただって? しかもウォルターはなぜいつものように『奥様』と呼ばない? 『リゼット様』とはなんだ? 彼女はまだリカルドと離縁していないはずだ。
「なぜ王都へ戻したんだ! あそこがリゼットにとってどんな場所か伝えただろ?」
「ユーリ、傷が開くから無理しないで!」
「……うるさい!!」
魔獣の角で引っかかれてパックリと開いた背中の傷から、流血する感覚が分かった。カレンが悲鳴を上げながら俺の腕を引く。
「ユーリ、落ち着いて! 傷が開く!」
俺は、ウォルターの胸元をつかんだまま、あまりの背中の痛みに気を失った。