失われた断片・グラスとリチャード
「のみやシラミを、絶対に持ち込むな!
井戸で体を洗え!
私は明け方には戻る。
昼までには、絶対に起こすな。
わかったな!」

リチャードは、コートと帽子を御者に渡して、
杖にすがるようにして、
馬車に乗り込んだ。

馬車の扉が閉まると、
それは・・
ぺこりと頭を下げた。
リチャードは、窓からその様子を確認し、
馬車の座席に、沈みこんだ。

あの鍵束、
館の金庫からすべての鍵だ。

あれが、金目の物を盗み出し、
放火でもしてグロスターを、
壊滅させるのもおもしろい・・

馬車に揺れながら、
そんな考えにふけっていた。

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