失われた断片・グラスとリチャード
使用人・グラスの過去
・優美>
ある日の午後だった。
リチャードの昼食の終わった後、
空の皿を下げ終わると、
いつもなら、さっさと台所に引っ込むはずなのに、扉のそばで、
グラスが何か言いたげに、立っている。
珍しいな・・・
リチャードが口を開いた。
「何かあるのか?」
「あの・・旦那様・・
食品庫の食べ物が、
もう少なくなっているので」
「ああ、そうか、金がいるのか」
「市場で、買い物をするために・・・」
消え入りそうなグラスの言葉に、
リチャードは、わずらわしさを、思い出していた。
今までは、近所の小作人に、
適当に金を渡して、適当な食材を、台所の通用口に、置かせていただけだった。
その他に必要な物は、
街の雑貨屋に頼んで、配達をさせる。
唯一、リチャードが自分の手で買うのは、
コーヒー豆と、たばこくらいだった。
「お前が欲しいものは・・何かあるのか?」
「果物とミルク、卵と野菜、
新鮮な物があれば、お食事に出せます」
グラスは、きっぱりと言ったが、
その自信は、すぐに揺らいだようだ。
ある日の午後だった。
リチャードの昼食の終わった後、
空の皿を下げ終わると、
いつもなら、さっさと台所に引っ込むはずなのに、扉のそばで、
グラスが何か言いたげに、立っている。
珍しいな・・・
リチャードが口を開いた。
「何かあるのか?」
「あの・・旦那様・・
食品庫の食べ物が、
もう少なくなっているので」
「ああ、そうか、金がいるのか」
「市場で、買い物をするために・・・」
消え入りそうなグラスの言葉に、
リチャードは、わずらわしさを、思い出していた。
今までは、近所の小作人に、
適当に金を渡して、適当な食材を、台所の通用口に、置かせていただけだった。
その他に必要な物は、
街の雑貨屋に頼んで、配達をさせる。
唯一、リチャードが自分の手で買うのは、
コーヒー豆と、たばこくらいだった。
「お前が欲しいものは・・何かあるのか?」
「果物とミルク、卵と野菜、
新鮮な物があれば、お食事に出せます」
グラスは、きっぱりと言ったが、
その自信は、すぐに揺らいだようだ。