失われた断片・グラスとリチャード
「証人が、必要なのですが・・」
困ったように聖職者が、
リチャードに、顔を向けると
「そうだな・・」

その時、
窓の外を、2羽の小鳥が、横切っていった。

「バード夫妻ならどうか?
代理で私が、サインをするが」

「それで結構です」
聖職者は、
ポケットの封筒の厚さを、確認して言った。

証人の欄に、ミスター&ミセス・バードと、リチャードがサインをした。

「これで、式は終了です。
ゆりの花はお持ちください。
私からの祝福です」

「ありがとうございました」
グレイスがほっとしたように、
柔らかな笑顔で言った。

開け放った扉から、老人たちが数人入って、長椅子に腰をおろした。

祈りの邪魔にならないように、
リチャードとグレイスは、腕を組んで静かに中央の通路から、外に出て行った。

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