俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
エリートパイロットと急接近

 五色の明かりが滑走路を彩る、夜の羽田空港。

 多くの飛行機が並んだ駐機場の一角で、私は額や首筋から汗を伝わせながら、機体の点検をしていた。

 スカイイーストエアライン羽田発、シドニー行きの便。その巨大なエンジンを、目を皿のようにして覗き込む。

 与えられた時間は二時間弱。その間に、機体に傷がないか、オイル漏れはないか、小石や鳥に衝突した形跡がないか、タイヤの減り具合はどうか……ありとあらゆる項目をくまなく点検する。

 エンジンのファンブレード一枚一枚の、どんな小さな傷も見逃すことは許されない。すべては、安全に飛行機を飛ばすためだ。

 その他、コックピットの計器類、客室のシートや照明の交換など、機体内部の整備も私たちの仕事。

 定刻までにそれを終わらせるのは、なかなかハードな作業だ。

「うん……大丈夫」

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